開催概要

東北大学知のフォーラムと卓越大学院プログラム、法政実務教育研究センターが協働し、新型コロナウイルス (COVID-19) に関連するセミナーシリーズの第3回を開催いたします。
今回は、大きな変容が予想されるアフターコロナの国際秩序をテーマとします。
COVID-19への対応をめぐって米国と中国が対立を深める中、WHO改革、国際的な人の移動、開発援助などグローバル・ガバナンスの将来像はどのようにあるべきなのか、英国や韓国の最新の状況や関連の論議も紹介してもらいながら、人類共通の問題に対処するための国際秩序のあり方について議論します。


日時
2020年9月10日(木)
16:00–18:30
配信元
未来型医療創造卓越大学院プログラム推進室
配信方法
オンライン会議システム (Zoom)
主催
東北大学産学共創大学院プログラム部門
・未来型医療創造卓越大学院プログラム
・人工知能エレクトロニクス卓越大学院プログラム
・変動地球共生学卓越大学院プログラム

東北大学研究推進・支援機構 知の創出センター
共催
東北大学法学研究科・法政実務教育研究センター
ポスター
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プログラム

総合司会:戸澤 英典 (東北大学法学研究科教授・法政実務教育研究センター長)


16:00–16:10
開催挨拶

小谷 元子 (東北大学 理事・副学長(研究担当)、研究推進・支援機構 知の創出センター センター長)

16:10–16:30
国際組織としてのWHOとグローバルヘルス・ レジーム

植木 俊哉 (東北大学 理事・副学長 (総務・財務・国際展開))

16:30–16:50
COVID-19をめぐる人の国際移動のグローバル・ガバナンス

小松 志朗 (山梨大学 准教授)

16:50–17:10
英国のCOVID-19対策と国際的な関わり

Ra Mason (イースト・アングリア大学 講師)

17:10–17:30
韓国のCOVID-19対策とアフターコロナの国際秩序

李 元徳 (国民大学校 教授)

17:30–17:50
途上国におけるCOVID-19対策とJICAによる国際協力の取り組み

牧本 小枝 (JICA緒方研究所上席研究員)

17:50–18:00
講演についての確認・質疑
18:00–18:30
討議

モデレーター:岡部 恭宜 (東北大学 法学研究科 教授)

講師紹介

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植木 俊哉 (東北大学 理事・副学長 (総務・財務・国際展開))


[Title] 国際組織としてのWHOとグローバルヘルス・ レジーム

[Summary]
新型コロナウイルスCovid-19の世界的な大流行は、地球上の特定の地域で発生した感染症が短期間に全世界に広がり世界中の人々の日常生活に甚大な影響を与える「グローバル社会」の現実をわれわれに実感させる結果となった。このような国境を越えた世界的規模の課題に適切に対応するためには、各主権国家の活動を調整し国際協力を促進する国際組織の役割が不可欠である。今回の新型コロナウイルス対応に関しても、感染症や人類全体の健康や医療等の分野を担う国際組織である世界保健機関 (World Health Organization; WHO) がさまざまな活動を行っているが、批判にもさらされている。そもそも、WHOとはいかなる組織体であり、われわれは国際組織に何を期待してどのようにその変革を目指すべきであるのか。国際法と国際組織法の基本に立ち返って、これらの問題を考えることとしたい。

[Profile]
1986年東北大学法学部助教授、1999年~東北大学法学部教授 (国際法担当) 、2004年~2006年東北大学法学部長・大学院法学研究科長、2006年~東北大学理事。専門は、国際法・国際組織法。2005年~世界法学会理事、2016年~国際法学会業務執行理事、2018年~2020年国際法学会雑誌編集部長、2020年~世界法学会理事長。発表論文として、「国際組織による感染症対策に関する国際協力の新たな展開」『国際問題』642号 (日本国際問題研究所、2015年6月) 。


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小松 志朗 (山梨大学 准教授)


[Title] COVID-19をめぐる人の国際移動のグローバル・ガバナンス

[Summary]
COVID-19のような感染症が国境を越えて世界に広がるのは、人が国境を越えて移動するからです。そこで当然、各国政府は渡航制限などにより国境を閉ざすことで感染症の流入を食い止めようとします。しかし、そうした対策は実はあまり効果が期待できません。それどころか、いろいろな弊害を伴いますし、国際的な対立の火種にもなります。ではどうすれば良いのでしょうか。人の国際移動の問題を中心に、グローバルな視点から感染症対策について考えてみたいと思います。

[Profile]
1978年生まれ。2008年3月早稲田大学大学院政治学研究科 (博士後期課程) 単位取得退学。博士 (政治学) 。早稲田大学政治経済学術院助教を経て、2016年4月から現職。専門は国際関係論。研究テーマは人道的介入、感染症。主著に『人道的介入:秩序と正義、武力と外交』 (早稲田大学出版部、2014年) 、「世界政府の感染症対策:人の移動をめぐる国境のジレンマ」 (大庭弘継編『超国家権力の探求:その可能性と脆弱性』南山大学社会倫理研究所、2017年) など。


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ラー・メイソン (イースト・アングリア大学 講師)


[Title] 英国のCOVID-19対策と国際的な関わり

[Summary]
コロナウイルスの流行直後は、英国政府がいわゆる「集団免疫」 (Herd Immunity) を目指すCOVID-19対策をとることにした。しかし、世界各国がその対処法を拒否したことを受け、英国政府もその対策を見直し、緊急事態宣言とそれに伴うロックダウンを発令した。最先端のワクチン研究所を誇る国の一つであるにもかかわらず、そうした場当たり的かつ不明確な対策が失敗していることにより、政府は国民の多くから厳しく批判されるようになっている。

[Profile]
2012年東北大学大学院・シェフィールド大学大学院博士後期課程 (CNDC) 修了。2013年セントラルランカシャー大学アジア太平洋学コースリーダー兼助教授、2014年琉球大学客員研究員 (JSPS) 、2015年東北大学IGSAP准教授を経て、2016年よりイーストアングリア大学ササカワ国際関係論・日本対外政策講師 (現職) 。専攻は日本の国際関係とアジア太平洋に於けるリスク論で、単著・共著多数。評論家として多くのマスコミ (BBC、フランス24、DW、アルジャジーラ等) に出演。


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李 元徳 (国民大学校 教授)


[Title] 韓国のCOVID-19対策とアフターコロナの国際秩序

[Summary]
相対的に成功モデルと言われている韓国のCOVID-19への対策の在り方を紹介する。その後韓国においてコロナ以後国際秩序に関する認識や議論の展開を検討する。韓国ではコロナ以後の国際秩序は自由主義政治経済秩序の後退やニューノルマルの本格化と米中覇権競争の深化、そして国家の帰還という概念で捉えられている傾向が強い。最後にポストコロナの国際情勢に対する韓国の対応戦略も考えてみる。

[Profile]
1994年東京大学総合文化研究科博士号 (国際関係論) 。世宗研究所研究委員、国民大学国際学部教授、国民大学日本学研究所長へて、2014年より現職。専攻は国際関係論、北東アジア国際政治であり、特に戦後日韓関係史に関する実証的な研究に力を入れてきた。最近では韓国政府や民間研究組織、マスコミーなどの領域において日韓関係の現状分析や諮問活動を行っている。2009-13年日韓新時代共同研究幹事、2015年韓国現代日本学会長、2016年韓国政治学会副会長歴任、韓国外交部、統一部、国防部など政府機関の政策諮問委員歴任。


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牧本 小枝 (JICA緒方研究所 上席研究員)


[Title] 途上国におけるCOVID-19対策とJICAによる国際協力の取り組み

[Profile]
1993年東京大学医学部保健学科卒業、1995年東京大学大学院医学系研究科修士課程修了。 JICA医療協力部、国際保健機関西太平洋地域事務局(WHO/WPRO)拡大予防接種課、JICA人間開発部感染症対策チーム、JICAラオス事務所 次長などを経て2017年よりJICA研究所 上席研究員を務める。 主な研究分野、研究領域は国際保健・グローバルヘルス、人間の安全保障、ガバナンス、東南アジア・南アジア地域。 主な著書に『国際保健医療学』『国際貢献 医療に携わる人たちのために - AN APPROACH TO INTERNATIONAL MEDICAL COOPERATION』などがある。


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総合司会
戸澤 英典 (東北大学法学研究科 教授、法政実務教育研究センター長)


[Profile]
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。エッセン総合大学留学、EU代表部専門調査員、大阪大学法学部講師・助教授を経て2005年4月に東北大学助教授、2010年7月より教授。2014年から2016年まで公共政策大学院長、2020年4月より現職。専攻は国際関係論。


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討議モデレーター
岡部 恭宜 (東北大学法学研究科 教授)


[Profile]
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士 (学術) 。外務省、東京大学社会科学研究所、JICA研究所を経て2015年4月より現職。専攻は比較政治学、国際ボランティア論。

参加申込

参加申込は締め切りました。お申し込みありがとうございました。

お問い合わせ

法政実務教育研究センター
E-Mail:law-center★grp.tohoku.ac.jp【★を@に変更してください】
担当者:皆川