2022年3月11日

新しい社会主義:コモンズのための制度設計 を開催しました

2022年3月11日(金)、新しい社会主義:コモンズのための制度設計 を開催しました。本講演では、東京大学の松島 斉氏より、気候変動抑止に向けて、各国の排出削減がうまく実施(遵守)されてこなかった原因について解説していただいたのち、実施を促進するための交渉ルールの提案について解説いただきました。

具体的には、
(1) 社会的共通資本の概念とは何か?社会的共通資本やコモンズにおけるフリーライダー (ただのり) 問題がなぜ起こるのか?
(2) フリーライダー問題を解決するための新しいルールの考え方「慎重なコミットメントルール」とは具体的にどのような国際ルールなのか?このようなルールにおいてなぜフリーライダー問題を解決できるのか?
(3)「慎重なコミットメントルール」を温暖化国際交渉に応用する場合のルール設計について、特に、従来のような国別の排出枠交渉に基づく解決策ではなく、環境税の導入と税額設定を中心とした解決策に変更することの重要性について解説いただきました。

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    松島 斉 氏
    (東京大学大学院経済学研究科 教授 / 東北大学大学院経済学研究科政策デザインラボ 客員教授)

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    講演の様子

この講演は、「新しい資本主義」の在り方を模索すると同時に、市場や国家に代わる、分権的な「新しい社会主義」の具体的な制度設計を目指すものであり、従来の交渉のあり方の方針転換を提案するものでした。
講演会は、オンラインによる参加と、会場(知の館)での参加のハイブリット型で運営しました。東北地方だけでなく、東京、大阪、沖縄、ハワイなどさまざまな地域から研究者、学生、社会人、東北大学OBなど合計87名の参加者があり、積極的な質問が出され、さまざまな議論が行われました。例えば、CO2トレードをより良い形で実現するにはどうしたらよいか、CO2削減技術開発に関わる知的財産権の保護の在り方やそれによる技術開発に及ぼす影響に対する懸念など、講演で提案されたルールで、より良い未来を作るためにどうすればよいかについての質問が多く寄せられました。
多くのご参加、まことにありがとうございました。