2016年7月18日

「スーパーエルニーニョと異常気象」講演会に参加しました

 7月18日 (月) 、青葉山サイエンスホールにおいて、「スーパーエルニーニョと異常気象」が開催されました。この市民講演会は、知のフォーラムテーマプログラム「Earth and Planetary Dynamics」の一環として開かれたスペシャルイベントです。講師は、Shang-Ping Xie (謝 尚平) 先生 (米国カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリプス海洋研究所・教授) で、東北大学で博士号を取得し、2014年には「世界で最も論文を引用された研究者」として表彰されています。

  • Shang-Ping Xie先生の画像

    Shang-Ping Xie (謝 尚平) 先生

  • 須賀利雄先生の画像

    須賀利雄先生

 講演会は、はじめに、Xie先生から赤道における水温と海流速度の関係や海洋エルニーニョと大気南方振動の結合など、海洋に関する基本的な説明がありました。続いて、Xie先生の経験談から、ハワイ大学で研究をなさっていた時に、気温上昇のため冬のワイキキビーチから見える山肌に緑が見えたお話があり、エルニーニョ現象の環境への影響力の大きさがうかがえました。その後、2014年の夏から2016年の春まで続いたスーパーエルニーニョ現象で生じた異常気象とその被害について、ニューデリーでの横断歩道の模様が溶けた様子をはじめ、実際の写真を表示しながら詳しく説明いただきました。
 エルニーニョ現象は、かつて、ペルー沖でのみ認められる現象であるとされていましたが、近年の研究によって世界中の環境に影響を及ぼすことがわかってきました。インド洋が「コンデンサ」のような役割をもつため、エルニーニョ現象が終わった直後の夏、日本への影響としては、梅雨が長い、台風の発生率が低いなどの傾向にあるという統計学的な結果が得られているそうです。

  • 来場者の画像

    熱心に講演を聴く来場者

  • 議論の画像

    大学院生と議論を交わす来場者

 Xie先生のお話の後には、各テーブルにファシリテーターとして大学院生がつき、来場者の間でわきあいあいと議論が行われ、講演内容への理解を深める時間が設けられました。
 質疑応答では、小学生から気象予報士まで様々な立場の方からの質問が飛び交い、Xie先生と司会の須賀利雄先生 (東北大学理学系研究科・教授) が現在の研究成果を元に、分かりやすく、丁寧にお答えくださいました。
最後に、須賀先生より「エルニーニョ現象は海洋と大気の強い相互作用により引き起こされる現象であり、海に関わりがあるということで、海の日である今日のテーマとして選んだ」との裏話も飛び出し、和やかな雰囲気の中で講演会は終了しました。
 被害を最小限にとどめるためにも、世界中を巻き込む異常気象の解明が急がれます。