2019年10月22日

キックオフシンポジウム「人間中心のIoT社会をデザインする -クリエイティブな未来に向けた産学連携戦略-」を開催しました

 10月22日(火)、東北大学知の館(TOKYO ELECTRON House of Creativity)にて、テーマプログラム「人間中心のIoT社会をデザインする -クリエイティブな未来に向けた産学連携戦略-」のキックオフシンポジウムが開催されました。

  • 早坂 忠裕先生

    開会挨拶 早坂 忠裕先生
    知の創出センター センター長 東北大学 理事・副学長(研究担当)

  • 堀尾 喜彦 教授

    趣旨説明 堀尾 喜彦 教授
    東北大学 電気通信研究所

 始めに、東京エレクトロン株式会社CSR推進室室長の荻野裕史様より、『グローバル社会におけるサステナビリティの取り組み』と題した導入講演を行っていただきました。  次世代のネットワーク技術である5Gの普及によってビッグデータの時代が本格化し、収集・解析されたデータがサービスに反映され、社会が豊かになる、という展望がある一方で、人権問題、気候変動など我々の社会は人権問題、気候変動などの様々な問題を抱えており、2015年のに国連サミットにおいて、持続可能な開発目標(SDGs)として、17の項目が設定されました。これらの目標を今後達成していくための、東京エレクトロンの取り組み、および、本テーマプログラムが東北大学知のフォーラムとの初の協働プログラムとして本テーマプログラムが実現した経緯をお話しいただき、産学協働によって企業や大学だけでは実現不可能な新たな価値の創造を行っていきたいとのメッセージをいただきました。

  • 荻野 裕史 様

    荻野 裕史 様
    東京エレクトロン株式会社 CSR推進室室長

  • 会場の様子

    会場の様子

 続く基調講演では、『明日の社会の仕掛人はあなた!』と題して、東北大学 名誉教授の原山優子先生にご講演頂きました。 まず2018年を振り返り、科学・技術面においてはゲノム編集や人工知能技術など、様々な技術の飛躍、発展があった一方で、スマートフォンやインターネットサービスの浸透、介入によって個人の行動や価値観が変容し、ひいては社会の意思決定プロセスである民主主義すら影響を受けかねない大変革の中にある とのご指摘がありました。その上で、総合科学技術・イノベーション会議議員を務められたご自身の経験から、経済成長の原動力となり、社会的な課題に対応していくための科学技術イノベーション政策において、従来型の手法の限界と、「より良い明日」に向けた議論の姿勢、そのための仕組みづくりと働きかけの必要性について論じていただきました。さらに、持続的成長のために、内閣府の提唱した、「社会の様々なニーズに応じてもの、サービスを提供し、個々人が枠にはめられることなく快適に暮らせる」社会像であるSociety 5.0に触れたうえで、その実践のために、大学、企業などがどのように仕掛けていくべきかをお話して頂きました。

 最後に、『楽天技術研究所による「個別化時代」への挑戦とCreative AIへの道』と題して、楽天技術研究所 代表の森正弥様よりご講演頂きました。 はじめ最初に、2012年の論文に端を発する、深層学習の産業界へのインパクトをお話していただき、楽天でも機械学習についての研究成果が様々なサービスに活用されていることを紹介していただきました。 また、楽天市場での取引データを解析する中から見えてきたこととして、現在はインターネットによって、人々の行動様式が大きく変わり、100万人いれば100万通りのニーズがある「個別化時代」と呼べる時代にさしかかっており、インターネット通販において「売れ筋」以外のニッチな商品の売り上げの総和が大きなウェイトを占める「ロングテール」と呼ばれる現象がみられ、隠れた個別の需要をくみ取るためには、もはやAIの力が不可欠であるとのことでした。さらには「Creative AI」による、閲覧者に応じた最適な広告やバナーの生成といった、究極のパーソナライズサービスの実現に向けた取り組みについて紹介していただきました。 そういった中で人間に求められているのは、AIにはできない「枠組みを壊し、作り変える」ことでありだとし、新しいビジネス、商品を考え、AIに対してリーダーシップをとっていくことがこれからのビジネスでの人間とAIの協働のありかたにおいて重要となる、とのお話でした。

  • 原山 優子先生

    原山 優子 先生
    東北大学 名誉教授

  • 森 正弥 様

    森 正弥 様
    楽天技術研究所 代表

  • 直江 清隆 教授

    結びの挨拶
    直江 清隆 教授 東北大学文学研究科

  • 会場の様子

    会場の様子

 私たちの社会が現在直面している問題や、日常生活での情報機器との付き合い方を考えさせられるとともに、IoTやAIによってもたらされる未来への期待も感じるシンポジウムとなりました。たくさんのご来場、ありがとうございました。

リンク:www.tfc.tohoku.ac.jp/event/4243.html