2020年11月25日

ノーベル賞受賞者による特別講演会「時空のさざなみ・重力波〜その初観測までとこれから〜」を開催しました

 11月25日(水)、ノーベル賞受賞者による特別講演会「時空のさざなみ・重力波 〜その初観測までとこれから〜」がオンラインで開催されました。
 このイベントでは、東京大学宇宙線研究所長の梶田隆章教授とマサチューセッツ工科大学のレイナー・ワイス教授による講演、若手研究者が参加しての対談と高校生や大学生からのQ&Aセッションが行われました。

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    開会のあいさつ
    小谷 元子 (東北大学理事・副学長(研究担当)・知の創出センター長)

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    司会進行の様子

 初めに、小谷元子東北大学理事・副学長(研究担当)・同大学知の創出センター長から開会のご挨拶をいただき、その後東京大学宇宙線研究所の梶田隆章先生により「ニュートリノから重力波へ」という題目で講演をいただきました。梶田先生はニュートリノ研究、特にニュートリノ振動の発見で2015年にノーベル物理学賞を受賞されています。スーパーカミオカンデでのニュートリノの実験から日本の重力波実験装置(KAGRA)へと向かうご自身の研究について、一般の方々にもわかりやすく説明をしていただきました。続いて、MITのレイナー・ワイス教授による「重力波天文学の幕明け-現状と将来の展望について-」という題目で講演いただきました。ワイス教授はレーザー干渉計型重力波検出器「LIGO」による2015年の初検出を導いた1人であり、2017年、キップ・ソーン、バリー・バリッシュ教授と共に、ノーベル物理学賞を受賞されました。今回での講演では、重力波について、またそれをどのように検出したかについて説明をしていただきました。

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    梶田 隆章 (東京大学 宇宙線研究所 所長・教授)

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    Rainer Weiss (マサチューセッツ工科大学 名誉教授)

 後半では、梶田先生とワイス先生に、京都大学基礎物理学研究所の成子篤助教、早稲田大学高等研究所の木村蘭平講師、上海交通大学李政道研究所の難波亮研究員が参加しての対談が行われました。対談では、お二人が以前には違う研究をされていたのに重力波の実験を選んだ理由、宇宙物理の研究を始められたきっかけなどをお聞きしながら進められました。また、お二人が今若い学生だったらどのような研究をされていますかというような質問もありました。最後の質疑応答では、4名の高校生、大学生が選ばれ、直接お二人に質問をすることができました。ノーベル賞の受賞がどのように知らされたのか、ニュートリノを将来エネルギーに変換することは可能なのか、重力波の観測の新しい手段についてなど、さまざまな質問に丁寧にお答えいただきました。
最後に山口昌弘東北大学副学長から閉会のご挨拶がありました。ご本人の専門も理論物理ということで本日の講演会を大変楽しみにされておられ、興味のある講演をいただいた梶田先生、ワイス先生に大変感謝をされておりました。

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    質疑応答の様子

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    閉会挨拶
    山口 昌弘 (東北大学 副学長 (教育改革、国際戦略))

 今回は同時通訳を入れたオンラインの形体という知のフォーラムとして初めての試みでした。561名の参加登録があり、本講演に対する関心の高さを伺い知ることができました。また、講演だけでなく、対談やQ&Aセッションというかたちで講演者と参加者が密に議論することができ、多くの学生や研究者・市民の方々に有意義な場となったのではないかと思います。たくさんのご参加、ありがとうございました。

リンク:www.tfc.tohoku.ac.jp/junior-research-program/event/9011.html