2021年10月21日

実践データ駆動科学オンラインセミナー第12回「人間と社会のデータ科学」を開催しました

 2021年10月21日(木)、実践データ駆動科学オンラインセミナー第12回「人間と社会のデータ科学」が開催されました。第12回では、データ科学の人間・社会への適用を扱いました。データ科学は、社会分析のためのツールとしても注目を集めていますが、人間・社会が関わる社会科学への応用には、「実験ができない」をはじめとする様々な困難が知られています。第12回セミナーでは、社会科学分野におけるデータ科学の活用事例について、3人の先生にお話し頂きました。

 最初にお話しいただいたのは、松田安昌氏 (東北大学経済学研究科 教授) です。松田氏からは、「コロナ禍における賃貸不動産市場の時空間分析」というタイトルでご講演いただきました。講演では、流動性と価格弾力性をCox回帰モデルで測定することによって、コロナ禍が東京23区の賃貸不動産市場にどのような影響を与えているかを分析した自身の研究についてご紹介くださいました。

 次に、澤田 真行氏 (一橋大学 経済研究所 講師) に、「“良い”学校は成績を上げるのか:回帰不連続デザインの理論と実践」というタイトルでご講演いただきました。澤田氏からは、無作為割当を行うことが難しい社会現象を分析するための手法として回帰不連続デザインを用いることで、「良い」とされている学校が実際にどれほど生徒の成績を上げているかを分析できることをお話しいただきました。

 また、石原 卓弥氏 (東北大学経済学研究科 助教) から、「介護保険の公平性を疑う―個票データを用いた分析」というタイトルでお話しいただきました。介護認定等基準時間のデータを統計的に分析することで、要介護認定が恣意的に操作されている可能性を示し、介護保険の公平性について検討しています。

最後に、三氏による総合討論を行いました。参加者からは多くの質問があり、非常に充実した質疑応答の時間となりました。東北大学のみならず、その他多くの大学・企業関係者の方々・一般の方々にもご視聴いただき、非常に有意義なセミナーとなったのではないかと思います。

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左上段から、
石原 卓弥氏 (東北大学経済学研究科 助教)
高木 敏行 (東北大学研究推進・支援機構知の創出センター 副センター長)
左下段から、
松田 安昌氏 (東北大学経済学研究科 教授)
澤田 真行氏 (一橋大学 経済研究所 講師)