2023年1月13日

仙台応用情報学研究振興財団×東北大学知の創出センター連携企画 仙台座談会「仙台から日本の未来を —DXによる街づくりのためのビジネスモデルの具体的構築」を開催しました

 2023年1月13日(金)16:30–18:10、仙台応用情報学研究振興財団×東北大学知の創出センター連携企画仙台鼎談会「仙台から日本の未来を —DXによる街づくりのためのビジネスモデルの具体的構築」がオンラインで開催されました。 本座談会は、公益財団法人 仙台応用情報学研究振興財団、東北大学 研究推進・支援機構 知の創出センターおよび東北情報通信懇談会の共同主催で開催されたものです。

 東京圏への一極集中からの脱却と危機に強い地方経済の構築が喫緊の課題となっています。 特に、仙台市を含めた東北地区の果たす役割に大きな期待が寄せられています。これを受けて、「日本の未来は仙台から」をキーワードとした仙台鼎談を2022年2月に開催しました。 そこでは、東北大学と仙台市が協働して、デジタル先端技術を活用したwell–being な都市モデルつくりの提案がされました。 今回はこの議論を発展させて、モビリティなど地方創生のためのビジネスモデルの具体的構築について討論をすることが目的となりました。

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    会場 N–ovalビル

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    講演風景

 今回は、郡 和子 仙台市長、青木 孝文 東北大学 理事・副学長 (企画戦略総括・プロボスト・CDO)、湧川 隆次 ソフトバンク先端技術研究所所長・MONET technologies 技術本部長の3名にご登壇をいただき討論をお願いいたしました。 これに加えて、梅内 淳 仙台市まちづくり政策局長にも仙台市まちづくりの観点から補足をいただく形で登壇をお願いいたしました。 なお、当初登壇を予定していた藤原 洋 一般財団法人 インターネット協会理事長、ブロードバンドタワー代表取締役 会長兼社長 CEOは体調不良のため残念ながらご欠席となりました。 開会挨拶として、主催団体の一つである公益財団法人 仙台応用情報学研究振興財団の野口正一理事長よりご挨拶をいただきました。 野口理事長からは、今回の座談会の趣旨として沈みゆく日本の再生のための戦略を、仙台市が地域創出のさきがけとなる具体的な実行プログラムとして仙台モデルの構築をここから提案していくべきだということが語られました。 東北大学および地域大学の持つ高度な知的資源と人材、仙台がもつ東北6県との強力な人的、物理的ネットワーク、次世代放射光施設の活用などにより、地域創出の戦略的な具体的なビジネスモデルを構築することを提案されました。

 それに応える形で、3名の登壇者からショート・プレゼンテーションがなされました。 仙台市長からは、人材の集まる中核都市である仙台市の紹介と東北大学との連携強化による産学官一体でのイノベーション創出を目指す戦略について語られました。 次世代放射光施設「ナノテラス」による様々な分野への応用による新事業創出に大きな期待をされていること、大企業だけでなく中小企業も有効な活用がうみだせることにも言及されました。 国家戦略特区による規制改革メニュー、Web3.0ビジネスの加速、仙台市×東北大学スーパーシテイ構想などの具体的な計画についてもお話しがありました。 これらによる仙台・東北発のイノベーション創出に挑戦し、世界から選ばれるまち・仙台をめざすという意気込みを語られました。

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    野口 正一 氏
    (公益財団法人 仙台応用情報学研究振興財団 理事長)

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    郡 和子 氏
    (仙台市長)

 続けて青木 東北大学理事は、「サイエンスを基盤として新たな社会価値の創造へ」というタイトルでお話をいただきました。 民間投資を呼び込む大型研究開発施設群と共創の場、加速する東北大学発スタートアップや年3%の事業成長を目指す大学経営について、青葉山新キャンパス構想をはじめとして、 次世代放射光施設計画等の先端技術による貢献、社会課題解決における市民との連携の試みなど、いくつかの具体的なプロジェクト事例を挙げて、今までにない大学ビジネスモデルの構想についてお話をいただきました。 最後に、湧川隆次ソフトバンク先端技術研究所所長・MONET technologies 技術本部長がMONTの事業概要をご紹介いただき、MaaSを中心とした地域モビリティについて語っていただきました。 クルマや人の移動などに関する様々なデータを活用して需要と供給を最適化し、移動における社会課題の解決や新たな価値創造を可能にする未来のMaaS事業の提案についてご説明とご提案をいただきました。

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    青木 孝文 氏
    (東北大学理事・副学長 (企画戦略総括担当・プロボスト・CDO))

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    湧川 隆次 氏
    (ソフトバンク先端技術研究所所長、MONET technologies 技術本部長、慶應義塾大学 KGRI 特任教授)

 ショート・プレゼンテーションを受けて、3名の登壇者と梅内仙台市まちづくり政策局長を含めてのディスカッションがおこなわれました。 今回は、MaaSの具体的な事業をご紹介いただき、それを中心としたさまざまな社会課題の解決についての討議がおこなわれました。 MONETは多くの地域でのモビリティ事業を展開してきているが、中核都市である仙台市のサイズでのモビリティの活用についてそれを推進するための様々な議論が行われ、仙台市や東北大学をモデルにした社会実装の可能性に言及されました。 梅内局長からは、地域のなかで成功事例を作っていくことを期待したいという発言もありました。 もう一つの論点として、東北大学がと仙台市などが進めているナノテラスの推進について議論が行われ、県や市と大学が一体となって行う今までにない独創的な事業としてぜひ成功させていきたいという発言が青木理事からありました。

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    梅内 淳 氏
    (仙台市まちづくり政策局長)

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    集合写真

 最後に、3名の登壇者と野口理事長から、コメントをいただきました。 いただいたコメントはどれも、仙台のあり方がまさに日本の未来を開く鍵となることが実感させるものでした。 東北大学の舘田あゆみ特任教授のいつもながらの名司会にも助けられて、盛況のうちに終わることができました。 なお、今回の鼎談会の資料は、知のフォーラムのホームぺージに掲載されますのでぜひご覧ください。

 今回は、オンラインでの開催であり、仙台市内だけでなく、関東を含めて約140名の参加申し込みがあり、盛況に開催ができました。 たくさんのご参加ありがとうございました。