2023年1月16日

実践データ駆動科学オンラインセミナー 第16回「おいしさをデータ化する –飲食物の「味」の定量化・定質化とその応用–」を開催しました

2023年1月16日(水) 15:00–17:00 第16回 実践データ駆動科学オンラインセミナー おいしさをデータ化する –飲食物の「味」の定量化・定質化とその応用–を、 主催 東北大学 研究推進・支援機構知の創出センター、共催 東北大学大学院文学研究科、東北大学電気通信研究所、 東北大学ヨッタインフォマティクス研究センターとして、開催いたしました。

坂井信之先生 (東北大学大学院文学研究科・電気通信研究所 教授・ヨッタインフォマティクス研究センターセンター長)司会のもと、 この分野で活躍されているAlexander Raevskiy先生 (東北大学ヨッタインフォマティクス研究センター 特任助教)、瀧本拓央先生 (アサヒ飲料株式会社)、 そして今田敏文先生 (Wismettacフーズ株式会社)にオンラインにて講演して頂きました。

最初に坂井信之先生から、味覚の官能評価についてのお話と、講師の先生方のご紹介を頂きました。 味覚は、私たちの生活に欠かすことができない最も重要な知覚の一つです。でもその感じ方は曖昧で、捉えどころがありません。 坂井先生がこの重要な課題を、どのようなアプローチでデータ化し、科学として捉えているのか、お話が伺えてとても勉強になりました。

Alexander Raevskiy先生からは、「「味」の表現の文化的差について」というタイトルでのお話を頂きました。 私たちの味の言葉での表現方法をデータ化し、国ごとの違いなどを可視化されています。特に、苦味、旨味、渋味を色で表現した時、国ごとに大きく違うことが興味深かったです。 また、柿の種のパリパリ感を、他の国の方がどのように聴覚として感じているかなど、その視点のユニークさに驚きました。

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    坂井 信之氏
    (東北大学大学院文学研究科・電気通信研究所 教授・ヨッタインフォマティクス研究センターセンター長)

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    Alexander Raevskiy氏
    (東北大学ヨッタインフォマティクス研究センター 特任助教)

次に、瀧本拓央先生からは、「アサヒ飲料社における官能評価について」というタイトルでお話を伺いました。 私たちが普段飲んでいるジュースがどのように開発されているのか、現場の生の声をお伺いすることができてとても勉強になりました。 個人的には、運動で汗をかいた後のビールがなぜあんなに美味しいのか、とても興味を持ちました。

また、今田敏文先生からは、「味覚・味物質の活用評価: 官能評価、行動評価およびセンサーを用いた事例」というタイトルでの発表を頂きました。 私たちの、美味しいけど健康にも良いというわがままな要求に対して、食品会社の方々がどのように応えてくださっているのかがとても興味深かったです。 そして、味覚の複雑さ、奥の深さを感じることができました。

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    瀧本 拓央氏
    (アサヒ飲料株式会社)

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    今田 敏文氏
    (Wismettacフーズ株式会社)

最後の30分間で行われた総合討論では、味覚のデータベース化やオープンビッグデータの整備などに関して質問させて頂きました。 味覚に関するデータを収集するには多くの手間と時間がかかり、かつ市場価値もとても高いものです。 なので、なかなか無料で公開ということにはいかないとのことですが、食に関して非常に強い執着を持つ日本人としては、 味覚のビッグデータの整備と活用において世界をリードし、日本食を通した世界 の貢献が実現できると素晴らしいなと感じました。