2023年1月13日

地球深くには何がある?〜深海掘削とニュートリノ〜を開催しました

 2023年1月14日(土)、地球深くには何がある?〜深海掘削とニュートリノ〜が東北大学研究推進・支援機構 知の創出センター、 東北大学ニュートリノ科学研究センターと仙台市天文台の共同主催で開催されました。 このイベントは、講演会に加え、東北大学ニュートリノ科学研究センターと海洋研究開発機構の研究紹介、そしてマントルを作るかんらん石を観察する展示会も行いました。

 地球を知るための様々な手法の中で、ニュートリノ観測と深海探査は現代における地球を理解する最先端の方法と言えます。 講演会では、ニュートリノ観測と深海探査をテーマに、地球深部研究を通じて私たちが知らなかった地球について紹介されました。

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    講演会場の様子

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    展示会場

 最初の講演は、東北大学ニュートリノ科学研究センターの渡辺 寛子氏から、「ニュートリノ検出器が深海に行く?」というタイトルでご発表いただきました。 冒頭では、「ニュートリノ」が物質の最小単位である素粒子の一種であり、宇宙、太陽、原子炉、そして地球など、様々な発生源から大量に生成されることを説明されました。 地球内部の放射性物質は、地球の様々な活動を支える熱源の一種ですが、どこにどれだけの熱源があるのかは実はまだよくわかっていません。 しかし、何百キロ、何千キロも深い地球深部にある放射性物質が生成したニュートリノ「地球ニュートリノ」を地表で観測することで、地球内の熱量を測ることができます。

 渡辺氏は、自身も研究に参画している岐阜県神岡鉱山内の世界最大の液体シンチレーター検出器を用いたカムランド実験で進む、世界最高精度の地球ニュートリノ観測や、 様々な分野の研究者が集結して進められている「Ocean Bottom Detector」プロジェクトをご紹介いただきました。

 次の講演は、海洋研究開発機構の阿部 なつ江氏から、世界最大級の地球深部探査船『ちきゅう』を用いた海洋科学掘削による地球と生命の進化の謎の解明というテーマでご講演いただきました。 海洋科学掘削を通じて、自然災害のメカニズム、生命の起源、気候変動などについて研究が進められていることをご紹介いただきました。 阿部氏ご自身が掘削船に乗り、世界各国の研究者と共に研究生活の楽しさについてもお話していただきました。

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    渡辺 寛子 氏
    (東北大学ニュートリノ科学研究センター 助教)

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    阿部 なつ江氏
    (海洋研究開発機構研究プラットフォーム運用開発部門 主任研究員)

 講演会の後、参加者も展示会会場に場所を移して、講師と活発な議論が展開されました。 今回は、オンサイト・オンラインで多数の方にご参加いただきました。 たくさんのご参加ありがとうございました。