2023年3月6日

東北大学知の創出センター×東京エレクトロン共同企画 ノーベル賞受賞者Barry C. Barish教授 特別講演会「アインシュタインから重力波へ」を開催しました

去る2023年3月6日(月)、東北大学知のフォーラム10周年記念イベントとして、 東北大学知の創出センター×東京エレクトロン共同企画、ノーベル賞受賞者Barry C. Barish 教授特別講演会「アインシュタインから重力波へ」をオンサイトとオンライン (YouTube Live) で開催しました。 本講演会は、東北大学宇宙創成物理学国際共同大学院との共催で開催しました。

重力波の存在についてアルバート・アインシュタインがその存在を予言してから、100年後、カリフォルニア工科大学のBarish教授らほかの研究者により初観測に成功しました。 その功績が認められ、Barish教授は2017年にノーベル物理学賞を受賞されました。 今回の講演では、Barish教授に重力波の発見が今後の天文学や物理学にどのような進展をもたらすかを語っていただきました。 本学名誉教授及びバレンシア大学客員教授の山本均先生には、Barish教授のご紹介とともに今回の講演に関する前提知識の解説をしていただきました。

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    藤村 由紀子 さん
    (バイリンガルMC)

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    オンサイト開催会場

開会にあたり、本学の大野英男総長と東京エレクトロン株式会社の布川好一取締役からご挨拶をいただきました。 お二人とも用務がかさなっており、大野総長からはビデオメッセージで、布川取締役はオンラインでのご挨拶となりました。 大野総長からは、初代総長の澤柳政太郎がアインシュタイン博士を東北大学へ招聘する計画を立てられ実現したこと、 東北大学が115年の節目に、アインシュタインが予言した重力波を発見されたBarish教授を東北大学へ招聘できたことなど、エピソードを含めてご挨拶いただきました。 また、東京エレクトロン株式会社の布川取締役からは、10年に亘り、東北大学知のフォーラムを支援してきたこと、その中で、 多数のノーベル賞受賞者を含む著名研究者の招聘が行われたことが東京エレクトロン株式会社としても一つの成果であることなどをお話しいただきました。

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    大野 英男 氏
    (東北大学総長)

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    布川 好一 氏
    (東京エレクトロン株式会社 取締役)

開会挨拶に続けて、山本名誉教授による講演 「天文学と物理学―Baish 教授の経歴」が行われました。
山本名誉教授からは、Barry Barish教授の研究経歴についてのご紹介をいただきました。 2017年に重力波の観測でノーベル賞を受賞されましたが、その経歴は高エネルギー加速器を使った素粒子物理学、ニュートリノ観測、そして重力波観測と非常に幅広くご研究されています。 それらの科学的意義の簡単な導入とともにBarish教授が携わった数々の実験を振り返っていただきました。
続いて、Barish教授による講演「アインシュタイン から重力波へ」が行われました。
重力波の発見は、アルバート・アインシュタインによって予言されてから 100 年後の 2016 年に、レーザー干渉計重力波天文台 (LIGO) によって行われました。 最初の検出は、21 乗の 10 分の 1 未満の時空の歪みを観測する前例のない感度での 2つのブラック ホールの衝突でした。 この発見の2年後、高エネルギーガンマ線の観測と同時に、2つの中性子星の衝突による重力波が観測されました。 この観測により、マルチメッセンジャー天文学というエキサイティングで新しい学問分野が開かれました。 そして、物理学、検出器、科学について説明をしていただきました。

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    山本 均 氏
    (東北大学 名誉教授 / バレンシア大学 客員教授)

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    Barry C. Barish 氏
    (カリフォルニア工科大学 名誉教授 / カリフォルニア大学リバーサイド校 教授)

2つの講演のあとに、本学理学研究科佐貫智之准教授をモデレータとして、Q&Aセッションが行われました。 会場からの質問とともに事前に募集した質問についてBarish 教授に親切にお答えいただきました。 最後に佐貫准教授より、「Barish 教授へ、先生の夢、特にこれからぜひやってみたい研究についてお教えしてほしい」という質問がなされました。 Barish教授は、「今までやってきた研究をもっと追及したい。宇宙の始まりであるビックバンなど、まだまだ分からない宇宙の謎がある。 それをこれからも追及していくことにわくわくしている。」と述べられました。 これからも、ますますお元気でご活躍されることと思います。

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    佐貫 智行 氏
    (東北大学大学院理学研究科 准教授)

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    質疑応答の様子

今回の特別講演会には、オンラインの開催として、研究者、大学院生といった専門家だけでなく、 学部生、高校生、中学生、また一般の方を含めて、幅広い層の方々から会場参加者240名、オンライン参加者509件の申し込みがありました。 ご参加いただいた方々には、宇宙物理の面白さに興味をもっていただくことができました。

講演会終了後も、講演の資料やビデオ録画の問い合わせも数多くいただいており、反響の高さが窺えました (動画はホームページで公開予定)。

皆様のご協力で盛大に開催できました。
知のフォーラムでは、このような魅力あるイベントを今後も開催して参りたいと思っております。
たくさんのご参加ありがとうございました。