2024年3月9日

TFC×TEL協働プログラム特別講演会「113番元素ニホニウム発見とさらなる超重元素発見に向けて」を開催しました

2024年3月9日にTFC×TEL協働プログラム特別講演会「113番元素ニホニウム発見とさらなる超重元素発見に向けて」が、東北大学知の創出センターと東京エレクトロン株式会社の主催、東北大学電子光理学研究センター、 理化学研究所仁科加速器科学研究センター、東北大学理学研究科、東北大学 宇宙創成物理学国際共同大学院の共催、東北大学ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進センターの協力で開催されました。

ビッグバン以降138億年のどこでどのようにさまざまな元素が作られてきたのか、そして私たちはそれら元素をどのように利用して生命活動を維持しているのか、いまだ謎の多い宇宙での元素合成の謎に興味をもってもらおうという趣旨です。 日本から初めて元素周期表に登録された二ホニウム発見物語や現在進めている研究などについてもお話しをしていただきました。

小谷 元子 東北大学 理事・副学長 (研究担当)、研究推進・支援機構 知の創出センター センター長のビデオメッセージによる開会挨拶に引き続き、3つの講演がおこなわれました。

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    小谷 元子 氏
    (東北大学理事・副学長 (研究担当))

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    司会進行: 佐藤 梨奈 氏
    (東北大学環境科学研究科)

最初の講演は、須田 利美 東北大学電子光理学研究センター 教授による、「元素と私たち」というタイトルでお話しをいただきました。 138億年前の宇宙開闢時 (ビッグバン) には元素は存在していなかったが、 今や地球上にはさまざまな元素が存在すること、それらのいくつかの元素は私たちの生命維持には欠かせないことなどをお話しいただきました。 また、私たちに密接に関係するこれら元素は、いつ、どこで、どのように造られてきたのかを含めて宇宙での物質進化についてもお話しいただきました。 中国の元素周期表のご紹介や、最近、近畿大学の女子学生の方の元素をわかりやすく紹介する試みなど、楽しい話をいただきました。

続いて、羽場 宏光 理化学研究所仁科加速器科学研究センター 核化学研究開発室長による「進化する元素周期表」についてのお話しをいただきました。 古代より人類は新しい元素を探し求め、その未知の性質を明らかにし、人々の生活を豊かにしてきたこと、元素発見の歴史を紐解きながら、進化する周期表と核図表、人工元素のつくり方について解説をしていただきました。 我が国の新元素探索の試みは、ニホニウムが最初ではなく、東北大学総長にもなられた小川正孝が発見したニッポニウムと仁科芳雄らが取り逃した93番元素があることについてもお話しをいただきました。

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    須田 利美 氏
    (東北大学電子光理学研究センター 教授)

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    羽場 宏光 氏
    (理化学研究所仁科加速器科学研究センター 核化学研究開発室長)

最後は、森本 幸司 理化学研究所仁科加速器科学研究センター 超重元素分析装置開発チームリーダーによる「二ホニウム発見とさらなる新元素発見に向けて」というお話をいただきました。 現在、発見され認定されている元素は118個あり、そのうち天然に存在するのは水素 (1番元素) からウラン (92番元素) までであり、93番以上の元素は人工的に合成し発見されてきたことのお話しがありました。 その上で、我が国で発見された新元素ニホニウム (113番元素) がどのように合成され確認されたのか、そしてさらなる新元素発見に向けての期待を感じるお話しが伺えました。

そのあとに、会場、オンライン参加をされた方から事前にいただいた質問について3人の講師の方とし質疑応答がありました。会場参加には、小学生の方もおいでになり、活発な質問がありました。

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    森本 幸司 氏
    (理化学研究所仁科加速器科学研究センター 超重元素分析装置開発チームリーダー)

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    質疑応答の様子

最後に荻野裕史 東京エレクトロン株式会社 サステナビリティ統括部長から、主催者代表として、ご参加いただいた方々へのお礼のご挨拶をいただきました。

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    荻野 裕史 氏
    (東京エレクトロン株式会社 サステナビリティ統括部長)

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    会場の様子

今回司会を務めてくださったのは、東北大学ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進センターに所属されている、東北大学環境科学研究科博士1年の佐藤梨奈さんでした。 理系女子の立場から、今回の講演会に興味をもっていただき、とてもさわやかな司会をしていただきました。 また、佐藤さんからは、東北大学ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進センターのご紹介とともに、本日参加されている女子学生の方々に理系へ進んでほしいというエールも送っていただきました。

今回の講演会では、大学生や理系に興味のある高校生・中学生や一般の方からから、178名のご参加をいただきました。 特に、藤沢から小学生の方もご参加くださり盛況に開催ができました。たくさんのご参加ありがとうございました。