2025年2月22日
東北大学知の創出センター未来社会デザイン塾ワークショップWS&公開イベント「みんなのコラボで創る、人と海が共生する未来型沿岸地域社会」を開催しました
2025年2月22日(土) 9:30–18:00で、東北大学知の創出センター未来社会デザイン塾ワークショップ及び公開イベント「みんなのコラボで創る、 人と海が共生する未来型沿岸地域社会」が、東北大学片平キャンパス材料科学高等研究所 (AIMR)にて開催されました。 本ワークショップと公開トークイベントは、一般財団法人三菱みらい育成財団より助成を受け、変動海洋エコシステム高等研究所 (WPI–AIMEC)、 笹川平和財団海洋政策研究所 (OPRI)及びSEAQUESTの共催で、フィッシャーマンジャパングループの協力のもと、 東北大学研究推進・支援機構知の創出センター未来社会デザイン塾事務局が主催したものです。
本イベントでは、環境変動、経済の変化、そして社会文化の変革といった観点から、沿岸地域の未来について考える場として、 各界から多彩なスピーカーと参加者が集い、課題とチャンスを探求する貴重な機会となりました。
開会のご挨拶 牧野 光琢 氏
(笹川平和財団海洋政策研究所 所長)モデレーター 飯田 綱規 氏
(変動海洋エコシステム高等研究所 (WPI–AIMEC)特任准教授)
公開トークセッション
本イベントでは、以下の5名のスピーカーによるトークを行いました。
- 須賀利雄 先生: 地球温暖化の現状とその広範な影響、特に海の変化について概説されました。
- 藤井豊展 先生: 沿岸生態系に焦点を当て、地球温暖化が海岸環境に及ぼす影響、特に水産業や水産資源に対する影響について解説されました。
須賀 利雄 氏
(東北大学・海洋研究開発機構 変動海洋エコシステム高等研究所 (WPI–AIMEC)所長/東北大学理学研究科 教授)藤井 豊展 氏
(東北大学・海洋研究開発機構 変動海洋エコシステム高等研究所 (WPI–AIMEC)研究員/東北大学農学研究科 准教授)
- 津田祐樹 さん: ブルーエコノミーの概念を紹介され、漁業、人材育成、食糧不足、環境負荷といった問題点について議論され、ファンディングを獲得し、ビジネスの力で解決するルートを提示しました。
(講演資料非公開) - デレーニ アリーン 先生:人類学的視点から、海に関わる食や祝祭などの社会文化、海洋の文化遺産、さらには地域住民のウェルビーイングに関する影響についてご講演されました。
津田 祐樹 氏
(株式会社 フィッシャーマン・ジャパン・マーケティング 代表取締役 社長)デレーニ アリーン 氏
(東北大学東北アジア研究センター 准教授)
黄 俊揚 氏
(笹川平和財団海洋政策研究所 主任研究員)会場の様子
ワークショップ・ディスカッション
講演後、参加者は活発なディスカッションに参加し、以下の点について議論を交わしました。
- 環境、社会 (文化・教育など)、経済の観点から、沿岸地域が直面する課題とチャンスは何か。
- 今後10年間で沿岸地域はどのように変化していくのか。
- 持続可能な沿岸地域の実現に向け、1年後、3年後、10年後にどのようなアクションを、誰が取るべきか。
- これらのアクションを実施する上で、どのような困難が予想されるか。
討論の様子
討論の様子
ディスカッションの結果、以下のような意見や提案が寄せられました。
- 過疎化の課題: 一部の参加者は、沿岸地域の過疎化が大きな課題であると指摘し、住民、研究者、そして行政が連携して未来の沿岸都市を設計する必要性を強調しました。
討論の様子
討論の様子
- 環境・社会の問題: 別のグループでは、生物多様性の低下、違法・未報告・無規制漁業 (IUU漁業)、世代間の対立などの課題が挙げられ、 起業家による沿岸事業のためのブルーファンドの開発や、行政による地元企業への資金支援が必要とされました。
討論の様子
討論の様子
- 未来のビジョン: また、参加者の中には、廃棄物の再利用、ロボット技術の統合、 風力や水力といったグリーンエネルギーの活用により、清潔で美しい海が実現され、 海中にはダイバーが訪れる魅力的な環境が創出される未来像を描く方もいました。 さらに、沿岸地域でリモートワークが普及し、海の景観を楽しみながら生活することで、人口が増加する可能性も示されました。
討論の様子
討論の様子
プレゼンテーション
ディスカッション後、各グループで考案した沿岸地域振興プロジェクトをプレゼンテーションしました。
プロジェクト1
「自律分散型エネルギョシティ」プロジェクト2
「Blue Innovation Coast Cities」
プロジェクト3
「海に行こう!with Love」プロジェクト4
「ブルートレーニング」
プロジェクト5
「Marché 3S (Smart, Small, Stylish)」会場の様子
開催後実施のアンケートで、「沿岸地域への関心が高まりました」、 「今後も同様のイベントを催して欲しい」など、好評の声が届いています。
本イベントは、参加者間での意見交換や新たな協力関係の構築を促進する、有意義な場となりました。 スピーカーと参加者の多様な視点や革新的な提案は、沿岸地域が抱える複合的な課題と、 それに対する統合的かつ先進的な解決策の可能性を浮き彫りにしました。 ご参加いただいた全ての講演者および参加者に心より感謝申し上げるとともに、 今後もこれらのアイデアをさらに深め、持続可能な沿岸地域の未来に向けた取り組みを推進して参りたいと考えております。