2025年2月1日–2月2日
東北大学知の創出センター未来社会デザイン塾公開ワークショップ「ジェンダー平等で解決する超高齢化社会の未来」を開催しました
2025年2月1日(土) 13:00–17:30、及び2月2日(日)10:00–12:00で、 東北大学知の創出センター未来社会デザイン塾公開ワークショップ「ジェンダー平等で解決する超高齢化社会の未来」が、 東北大学片平キャンパス材料科学高等研究所 (AIMR) にて開催されました。本ワークショップは、一般財団法人三菱みらい育成財団より助成を受け、 仙台市男女共同参画推進センターの協力のもと、東北大学研究推進・支援機構知の創出センター未来社会デザイン塾事務局の主催で開催されたものです。
本ワークショップでは、低出生率と高齢化が進む現代社会において、持続可能で生産的な社会をどのように構築するかをテーマに議論を行いました。 特に、労働市場における女性の活躍が経済成長や企業のイノベーションに与える影響に焦点を当てました。 参加者は、人生100年時代における新たなウェルビーイングの形を探求し、社会の持続可能性について考察を深めました。 また、低出生率や高齢化がもたらす課題、ジェンダー平等の推進が持続可能な未来にどのように貢献するのかについて、 講師の吉田浩先生と薗田綾子さんの指導のもと、活発な意見交換を行い、未来社会のビジョンを具体的に描きました。
吉田 浩 氏
(東北大学大学院経済学研究科 教授 / 高齢経済学研究センター長)薗田 綾子 氏
(株式会社クレアン 代表取締役会長 / 公益財団法人みらいRITA代表理事)
講演1: 吉田浩 先生
吉田浩先生は、労働力不足と少子化対策において、ジェンダー平等を推進する施策や意識改革の重要性を強調しました。
- 性別役割分担の再構築:女性が働きやすい環境を整備するには、従来の性別役割に関する認識を見直す必要があります。
- 企業の意識改革:経営者に女性雇用のメリットを認識させ、政策として女性従業員の比率を規定する施策の導入も検討すべきです。
- 女性のWell–beingと社会全体のWell–beingの相関性:女性の幸福度向上が、社会全体の幸福度向上につながることを経済的データに基づいて説明しました。
講演2: 薗田綾子 さん
薗田綾子さんは、社会課題以外に、環境問題にも目をつけており、ジェンダー平等と社会、企業と個人のWell–beingに注目しました。
- 気候変動や異常気象など世界のサステナビリティ脅威:2023年の異常気象による大干ばつ、洪水、暴風の影響で、カカオの輸入価格は3倍〜5倍に上昇。
- 長時間労働や無償ケア労働の問題:30代女性が5割以上結婚願望を示さず、多数の若年女性が非婚コースを選択。
- 男女間賃金格差の是正:日本で女性の賃金は男性の78%未満で、管理層に女性の割合が低い現状があります。
討論の様子
討論の様子
次に、参加者は未来社会のシナリオを構築しました。
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現状の延長線上にある2040年の未来
まず、社会課題に対策を講じない場合に起こりうる最悪シナリオを考えました。- 女性への出産強要
- 深刻な円安と国際競争力の低下
- 社会不安や暴動の発生
など、多様な未来像が想像されました。
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理想的な2040年の未来像
次に、社会課題が解決された未来の日本を想像しました。- 週休3日制の実現
- 男女賃金格差の解消
- 大学学費の無償化
- 友人と自由に政治を語れる社会
など、個人・社会の視点からさまざまな理想像が描かれました。
討論の様子
討論の様子
アクションプランの策定
理想の未来を実現するために、参加者はグループごとにロールプレイを行い、具体的なアクションプランを作成しました。
討論の様子
討論の様子
例えば、あるグループでは、自治体が企業に対する資金調達支援や補助金提供を行い、 さらに企業・大学・工房の連携を促すアイデアが出されました。特に、工房の活動を観光産業に組み込むことで、 地域経済の発展にも寄与できると議論されました。
ワークショップのまとめ
講師陣から各アクションプランにコメントをもらい、ワークショップは終了しました。
このワークショップを通じて、参加者は現状と未来をより深く認識し、今後の行動指針を明確にする機会を得ました。 自分たちが目指す社会の実現に向けて、今後どのような取り組みが必要かを考える重要な場となったのではないでしょうか。