2025年2月2日
TFC×TEL協働プログラム特別講演会「Well–beingな社会の実現へ」を開催しました
2025年2月2日(日)14:00–16:30にTFC×TEL協働プログラム特別講演会「Well–beingな社会の実現へ」が、 東北大学知の創出センターと東京エレクトロン株式会社の主催、一般財団法人三菱みらい育成財団の後援、 東北大学ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進センターと東北大学加齢医学研究所の協力で開催されました。
社会のあり方や個人のワークライフバランスが見直される中、これからの時代の中心的な考え方として注目されているのが「ウェルビーイング」です。 「Well–being (ウェルビーイング)」の起源は、1946年に定められた世界保健機関 (WHO)憲章に遡ります。 それによれば健康とは「肉体的にも精神的にも、そして社会的にも完全に満たされた (=Well–being)状態」のこととされています。 身体だけではなく、心のあり様や社会のあり方も含めて健やかであることです。 今、まさに超高齢化が進み世界一の長寿社会を迎えた日本では、年齢を問わず、全ての人が活躍できる場所や、安心して暮らせる社会をつくることが大きな課題となっています。
今回の特別講演会は、「幸福学」を提唱して、ウェルビーイング研究・教育での日本の第一人者である前野隆司慶応義塾大学教授・武蔵野大学ウェルビーイング学部長と 脳科学×最先端テクノロジー・ウェルビーイング研究を進められている細田千尋東北大学加齢医学研究所准教授に、これから求められる働き方、生き方についてご講演をいただきました。
杉本亜砂子 東北大学 理事・副学長(研究担当)、研究推進・支援機構 知の創出センター センター長による開会挨拶に引き続き、3つの講演がおこなわれました。
最初の講演は、東北大学大学院文学研究科 直江清隆教授による「未来社会を考える TEL協働プログラムでの未来社会デザイン塾の目指すもの」というタイトルでのお話しをいただきました。 東北大学知の創出センターでは、東京エレクトロン株式会社と協働プログラム「デジタル×サステナブル未来社会のデザイン」を推進しており、 そのなかで「未来社会デザイン塾」の運営を行っています。直江教授にはこの取り組みのリーダーを務めていただきました。 その一つの活動として、研究者、学生、企業人など多様な人々が集まり社会の課題解決を目指すための議論の場「未来社会デザイン塾」を主導してこられました。 その活動をご紹介いただくとともに、「well–beingな社会の実現」についてこのような活動が意義深いことについてお話しをいただきました。
杉本 亜砂子 氏
(東北大学 理事・副学長(研究担当))直江 清隆 氏
(東北大学大学院文学研究科 教授)
続いて、東北大学大学院情報科学研究科・加齢医学研究所の細田千尋准教授による 「すべての人の働きやすさと子供の健全な育ちのための未来社会デザイン」についての講演が行われました。 細田准教授は、ご自身の専門である脳科学の研究をもとに、well–beingとの関係性について説明されました。 特に、教育とwell–beingの関係や、社会的well–beingに関する知見を、脳科学の観点から具体的かつ説得力のある形でご紹介いただきました。
また、ウェルビーイングの定義を改めて見直した上で、細田研究室におけるウェルビーイング向上のための取り組みとその成果についても紹介されました。 さらに、近年の研究が示すウェルビーイングの効用や、その実現に向けた具体的な方法についても詳しく解説され、聴講者にとって大変示唆に富む内容となりました。
最後は、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 教授 / 武蔵野大学ウェルビーイング学部 学部長 前野隆司先生による 「ウェルビーイング〜幸せに働き、幸せに生きるために〜」についてお話しをいただきました。 第一は、幸福経営学の基礎についてお話しになられました。そのうえで、ウェルビーイングの心的要因についての因子分析を行って求めた 「幸せの4つの因子」、である「やってみよう因子」、「ありがとう因子」、「なんとかなる因子」、「ありのままに因子」についてご説明をいただきました。 また、これらの条件を満たした幸福経営のあり方や、はたらく人の幸せ / 不幸せの因子分析結果などの他の指標、企業での実践事例についてもお話しをいただきました。
細田 千尋 氏
(東北大学大学院情報科学研究科・加齢医学研究所 准教授)前野 隆司 氏
(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 教授 / 武蔵野大学ウェルビーイング学部 学部長)
そのあとに、会場参加をされた方から多くの質問があり、講師のかたがたから丁寧にお答えをいただきました。 最後には、前野先生から、Well–being な研究がこれからの社会の形成にとって重要である。 東北大学にもぜひwell–being 学部を作って連携しましょうという熱いメッセージをいただきました。
最後に荻野裕史 東京エレクトロン株式会社 サステナビリティ統括部長から、主催者代表として、ご参加いただいた方々へのお礼のご挨拶をいただきました。
討論の様子
荻野 裕史 氏
(東京エレクトロン株式会社 サステナビリティ統括部長)
今回司会を務めてくださったのは、東北大学ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進センターに所属されている、 東北大学農学研究科の前川紗佳子さんでした。急な代役司会となりましたが、スムーズなとてもさわやかな司会をしていただきました。
前川 紗佳子 氏
(東北大学農学研究科)会場の様子
今回の講演会では、大学生、中学生、高校生、企業からや一般の方からから、154名のご参加をいただきました。たくさんのご参加ありがとうございました。