2026年3月10日
東北大学知の創出センター未来社会デザイン塾2025年度公開ワークショップ「つながりはデザインできるのか?— 人生100年時代の住まいとまちづくり —」を開催しました
2026年3月10日(火) 13:00–15:30で、東北大学知の創出センター未来社会デザイン塾公開ワークショップ「つながりはデザインできるのか?— 人生100年時代の住まいとまちづくり —」が、東北大学片平キャンパス知の館にて開催されました。
本ワークショップは、超高齢社会における「つながり」を単なる感覚的な理想に留めず、具体的な「検討可能な条件」として捉え直すことを目的としています。佃悠先生による「居心地」に関する建築的知見と、加藤清也さんによる多世代交流の実践例をヒントに、空間デザインや運営、人間関係など多角的な視点から、人生100年時代に豊かなつながりを育む「場」のあり方を考案することを目指しました。多様なバックグラウンドを持つ参加者が集まり、「つながり」を支える「場」のあり方について、極めて濃密な対話が繰り広げられました。
・情報提供者

佃 悠 先生
(東北大学工学研究科 准教授)
加藤 清也 さん
(株式会社ノキシタ 代表取締役)
本ワークショップの最大の特徴は、アカデミアによる理論的枠組みと、地域社会での先進的な実践例が、一つのテーブルで鮮やかに融合した点にあります。
東北大学の佃悠先生からは、「居心地のよい場のデザイン ―人が集まる場所を考える―」と題するお話をいただき、建物と人間の相互作用やパーソナルスペースのあり方が「居心地」や「居合わせやすさ」にどう影響するかという建築学的知見をいただきました。特に、単なる物理的なスペースではなく、個々人がそれぞれの「居方(いかた)」を許容される空間の質についての議論は、後半のワークショップの重要な指針となりました。
加藤清也様からは、民間ならではの柔軟な発想で多世代に愛される場を創出する「ノキシタ」の実践知を共有いただきました 。「ごちゃまぜ」が生むコミュニティの生命力株式会社ノキシタの加藤清也様からは、多世代交流複合施設「ノキシタ」での実践を通じ、「つながり」の本質についてお話しいただきました 。「一緒に食べる」といった根源的な営みや、制度の枠を超えて人々が自然に混ざり合う(ごちゃまぜ)風景の紹介は、参加者に強い感銘を与えました。
・グループディスカッション

議論の風景

議論の風景
後半のグループワークでは、佃先生と加藤様から提示された知見を捉え直し、参加者全員で議論を行いました。参加者は最近3ヶ月の自身の経験を振り返り、「つながりを感じた場面」や逆に「期待したが感じられなかった場面」を付箋に書き出し、共有しました。佃先生の提唱する「パーソナルスペース」や「人間と建物の相互作用」という視点に基づき、建物の構造や物理的な距離がいかに「居合わせやすさ」や心の安心感に影響するかについて深い議論がなされました。

議論の風景

議論の風景
医療、福祉、保育、そして住まい。単一の分野に閉じない「多世代交流」のあり方が、模造紙や黒板の上に具体的な図面やフローチャ―トとして描き出されました。行政主導の画一的なサービスではなく、加藤様が実践する「ノキシタ」のような民間ならではの自由な挑戦が、多世代に愛される場を作る鍵であるという意見が多く出されました。
・グループ発表

発表の風景

発表の風景
最後のグループ発表では、各グループでの熱心な議論を経て、模造紙にき出された「居心地」や「つながり」を形作るための具体的なアイデアが共有されました。単に食事を共にするだけでなく、一緒に活動する(「散歩の際に同じ方向を物理的に見る」など)といった、日常の何気ない動作の中に「つながり」をデザインするアイデアや、行政主導の「縦割り」や「実績主義」という壁に対し、民間だからこそできる「課題設定力」や「チームビルディング」の重要性が提起されました。
・学生の参画
本ワークショップの成功の裏には、運営を主体的に担った学生たちの多大なる貢献があります。学生たちは、多忙な学業の合間を縫って議論を重ね、ワークショップのコンセプト設計から当日の会場設営にいたるまで、すべてのプロセスに関わりました。

学生ファシリテーター

学生ファシリテーター
当日は、未来社会デザイン塾に参加している学生たちが、メインファシリテーターやグループファシリテーターとして、専門家と参加者の間に立ち、対話が深まるよう細やかな配慮と進行を行いました。このワークショップ自体が、学生という若い世代が「未来のつながり」を真摯に考え、実践した一つの「居場所」となりました。

学生受付

会場の東北大学知の館
・まとめと今後の展望
本ワークショップは、専門的な知見を惜しみなく共有いただいた佃悠先生、加藤さん、積極的に協力した学生の皆さん、そして熱心に議論に参加してくださった参加者の皆様からの多大なるご支援のおかげで成功に実施されました。「年齢や性格により、つながりに対する捉え方が変わることがよく分かった」、「障碍者と高齢者の位置づけ」についての考えが深まったなど、参加者からの声が届いています。ここで生まれた数々の「未来の種」を、単なるイベントの記録に留めることなく、人生100年時代の豊かな社会をデザインするための確かな一歩として、今後も継続的な発信と実践に繋げていきます。
本ワークショップは、一般財団法人三菱みらい育成財団より助成を受け、東北大学工学研究科及び株式会社ノキシタの協力のもと、東北大学研究推進・支援機構知の創出センター未来社会デザイン塾事務局の主催で開催されたものです。