2026年1月29日
仙台応用情報学研究振興財団×東北大学知の創出センター連携企画 第9回仙台講演会「仙台から日本の未来へ–未来を拓く生成AIと半導体技術」を開催しました
2026年1月29日 (木) 16時から17時10分まで、仙台応用情報学研究振興財団と東北大学知の創出センターの連携企画による第9回仙台講演会「仙台から日本の未来へ–未来を拓く生成AIと半導体技術」をオンラインで開催しました。本講演会は、公益財団法人仙台応用情報学研究振興財団、東北大学研究推進・支援機構 知の創出センター、ならびに東北情報通信懇談会の共同主催によるものです。
生成AIは近年急速に進化し、ビジネス、教育、医療をはじめとする社会のさまざまな分野に大きな変革をもたらしています。本講演会では、生成AIの最新動向とその活用の可能性を紹介するとともに、AIを支える半導体技術に焦点を当て、技術の最前線や今後の課題について多角的な議論が行われました。
今回は、東北大学 国際集積エレクトロニクス研究開発センター センター長の遠藤哲郎先生と、東北大学電気通信研究所 特任教授の清重典宏先生の2名をお迎えし、講演および討議を行いました。
開会にあたり、公益財団法人仙台応用情報学研究振興財団の野口正一理事長よりご挨拶をいただきました。野口理事長からは、仙台から日本の再生を目指す産業創出の取り組みにおいて、AIが大きな可能性を秘めていること、そして東北大学が有する半導体技術やフィジカルAIの強みを生かし、世界的な知の集積拠点を仙台に構築していくことを目指しているとのお話がありました。本講演会は、その具体的な戦略について東北大学や仙台市の取り組みを紹介する場としたい、との趣旨が示されました。

仙台講演会開会

野口 正一 氏
(公益財団法人 仙台応用情報学研究振興財団 理事長)
続いて、遠藤哲郎先生より「スピントロニクス省電力AI半導体が拓く私たちのAI時代の生活」と題した講演が行われました。AIシステムやサービスの普及により、人類の知識や情報の共有・利活用は加速し、その適用範囲は日常生活から医療、社会インフラ、さらには宇宙分野へと広がっています。一方で、世界各地でAIデータセンターの建設が進み、膨大な電力消費が新たな社会課題となっています。
本講演では、こうした課題に対する解決策として、スピントロニクス省電力半導体がAI時代に求められる技術革新に有効であることが示されました。AI半導体におけるプロセッサとメモリの構成を俯瞰し、演算と記憶を一体的に設計できる点が大きな利点であること、さらにComputing in Memoryやニューラルネットワーク、ニューロモルフィックコンピューティングといったAI半導体アーキテクチャとの高い親和性について解説がありました。加えて、自動運転などの中核技術となるAIプロセッサにおいて、従来のシリコンCMOS技術と比べ、同一性能条件で消費電力を1/100〜1/1000にまで削減できる実証結果と、そのシステム実証が紹介されました。
続いて、清重典宏先生からは「フィジカルAIと情報通信技術が人口減少社会の未来を変える」と題した講演が行われました。デジタル化と計算処理技術の飛躍的な進展によりAIは大きく発展し、現在では画面の中の世界から現実空間へと主戦場を移し、「フィジカルAI」として世界的な注目を集めています。現実世界での自律的な動作を実現するためには、AIの判断を低遅延かつ高信頼で伝達する情報通信技術の進化が不可欠であることが強調されました。
自動運転やロボティクスをはじめとするフィジカルAIの進展は、将来の社会の在り方を根本から変える可能性を秘めています。特に、労働力不足が全国に先駆けて深刻化する東北地域においては、地域の暮らしや経済を支える「切り札」として大きな期待が寄せられています。本講演では、東北大学が有する半導体・通信技術の知見と、仙台市や企業が連携して進めている自動運転バスや工事現場でのロボット実証などの具体的な取り組みが紹介され、産学官の緊密な連携が地域課題を成長の原動力へと転換していく可能性が示されました。

遠藤 哲郎 氏
(東北大学 国際集積エレクトロニクス研究開発センター センター長)
清重 典宏 氏
(東北大学 電気通信研究所 特任教授)
講演後には、野口理事長から、こうした戦略を実現するためには国際的な生活環境、とりわけインターナショナルスクールの整備が重要であるとの指摘がありました。オンライン開催ではありましたが、講演終了後には現地会場に参加していた仙台市まちづくり政策局の筒井幸子局長をはじめ、仙台市関係者や参加者との間で活発な意見交換が行われ、仙台から日本の未来を担うという強い意志が共有されました。
東北大学 舘田あゆみ特任教授による的確で温かみのある司会進行にも支えられ、講演会は盛況のうちに終了しました。今回はオンライン開催にもかかわらず、仙台市内のみならず関東地域を含めて133名の参加申し込みがあり、多くの方々にご参加いただきました。ご参加いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。

舘田 あゆみ 氏
(東北大学工学研究科 (IIS研究センター) 特任教授)
集合写真