2025年11月22日
ノーベル賞受賞者・大隅良典先生 特別講演会を開催しました
11月22日(土)、東北大学新青葉山キャンパス・青葉山コモンズ大講義室にて、オートファジー(自食作用)の仕組みの解明により2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞された、大隅良典・東京科学大学栄誉教授による特別講演会を開催いたしました。なお、本講演会は、東北大学知の創出センターおよび東京エレクトロンの主催のもと、開催されました。
冒頭では、東北大学の冨永悌二総長より、大隅先生の来訪を歓迎する挨拶がオンラインで寄せられました。続いて、東北大学研究担当理事・副学長であり、知の創出センター長でもある杉本亜砂子教授が登壇。オートファジー研究の基礎的な解説に加え、学生時代からの大隅先生との学術的な交流について紹介しました。

冨永 悌二 氏
(東北大学 総長)
杉本 亜砂子 氏
(東北大学理事・副学長(研究担当)/ 東北大学研究推進・支援機構 知の創出センター長)
大隅先生の講演では、「人が取り組まないテーマをあえて選び続ける」という研究姿勢を軸に、研究者として歩んだ半世紀を振り返られました。ロックフェラー大学への留学や、東京大学・基礎生物学研究所での研究環境が転機となったこと、そして多くの学生・スタッフに支えられて研究が発展したことなどが語られました。さらに、1985年、酵母細胞の観察からオートファジーの現象を世界で初めて捉えたこと、当時は関連論文が20本ほどしかなかった分野が、現在では年間1万本に達する活況を呈していることにも触れられ、「基礎科学には時間がかかるが、それを大切にする社会であってほしい」と強調されました。
また、若手研究者を支援するために設立された「大隅基礎科学創成財団」の活動も紹介され、その理念への共感を呼びました。今回の講演会を機に、基礎科学を支援する機運がますます高まっていくことを期待しております。

大隅 良典 氏
(東京科学大学 総合研究院 細胞制御工学研究センター 特任教授 / 栄誉教授)
講演の様子
質疑では、会場・オンライン双方から多くの質問が寄せられました。「ノーベル賞受賞後に変わったことは?」という質問には「とにかく忙しくなった」と率直に回答されておりました。また、「多くの研究者が取り組むテーマでは大きな成果は期待しにくい。芽が出ていない分野へ挑む姿勢こそ大切」と、若い世代への励ましの言葉を贈られました。
講演終了後も、中学生・高校生をはじめとする参加者が大隅先生の周りに集まり、質問や記念撮影をお願いする姿が印象的でした。
今回の講演会は、藤村由紀子さんの司会進行のもと、会場参加250名以上、オンライン参加200名以上と大変多くの方にご参加いただき、盛況のうちに終了いたしました。

質疑応答の様子

藤村 由紀子 氏
(司会)
ご参加いただいた皆さまに心より御礼申し上げます。東北大学知の創出センターは、今後も世界を牽引する研究者を招へいし、皆さまに科学の魅力を伝える場を提供してまいります。