2025年8月29日(金)
2014年フィールズ賞受賞者特別講演会「偶然にひそむ数学:コイントス、原子、そして森の火事」を開催しました。
2025年8月29日(金)、東北大学片平キャンパス「知の館(TOKYO ELECTRON House of Creativity)」にて、フィールズ賞受賞者であるマーティン・ハイラー教授(ローザンヌ工科大学・インペリアル・カレッジ・ロンドン)の特別講演会が開催されました。本講演は知のフォーラム・テーマプログラム「Uncovering Causality in Our Complex World」の一環として行われ、会場には約80名、オンラインには約250名の参加があり、大変盛況となりました。
開会にあたり、知の創出センター長である杉本亜砂子 東北大学理事・副学長(研究担当)よりご挨拶があり、ハイラー教授のこれまでの業績と今回の講演の意義が紹介されました。杉本センター長からは、世界的な研究者を招いて学術交流を深める「知のフォーラム」の役割や、次世代研究者への期待についても言及がありました。
続いて登壇したハイラー教授は、コイントスの公平性や株価の変動といった身近な話題から始め、ブラウン運動が原子の動きを説明できること、さらに森林火災の広がりといった一見ランダムに見える現象が数学によって理解できることを紹介しました。複雑な現象の背後には、単純なパターンの繰り返しや縮小構造が潜んでいることを示し、確率論や複雑系研究の魅力をわかりやすく解説されました。また、現在取り組んでいる確率偏微分方程式の研究が、社会や自然現象の解明に大きな役割を果たす可能性についても展望を語られました。

Martin Hairer 氏
(ローザンヌ工科大学 教授/インペリアル・カレッジ・ロンドン 教授)
会場の様子
講演後には活発な質疑応答が行われ、英語での講演でありながら多くの参加者が積極的に質問しました。特に数学好きの高校生からは「英語を学ぶ意味を改めて実感できた。世界的な研究者の話を直接聞き、質問できるのは貴重な経験だった」との感想も寄せられました。
今回の特別講演会は、会場・オンラインを問わず、多くの参加者にとって学術的にも教育的にも大変有意義なものとなりました。ご参加くださった皆さまに心より感謝申し上げます。東北大学知の創出センターでは、今後も国際的に著名な研究者を招聘し、学術と社会をつなぐ場を提供してまいります。ぜひ次回以降も多くの皆さまのご参加をお待ちしています。