2026年10月13日

第3回TFC×TEL×RMC協働プロジェクト Sustainable Open Innovation Seminar「社会と知のフロンティアを拓く AI for Science」を開催しました

 2026年10月13日(火)14:00–15:00、第3回TFC×TEL×RMC協働プロジェクト Sustainable Open Innovation Seminar「社会と知のフロンティアを拓く AI for Science」が、東北大学片平キャンパス 知の館(TOKYO ELECTRON House of Creativity)およびオンラインにて開催されました。本セミナーは、東京エレクトロン株式会社、東北大学 研究推進・支援機構 知の創出センター、東北大学 研究推進・支援機構 リサーチ・マネージメントセンターの共同主催により開催されたものです。

 近年、生成AIをはじめとするAI技術は、私たちの日常生活だけでなく、ものづくりや医療など、現実世界のさまざまな場面へと活用の幅を広げています。第3回セミナーでは、東京科学大学 総合研究院 デジタルツイン研究ユニットの藤澤克樹先生をお招きし、「人とAIが共に進化する工場 — デジタルツインが創る次世代ものづくり —」と題してご講演いただきました。

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    会場の様子

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    藤澤 克樹 氏
    (東京科学大学 総合研究院デジタルツイン研究ユニット)

 講演ではまず、現実の工場や病院、都市などをコンピューター上に再現する「デジタルツイン」と、現実世界から集めたデータを分析し、その結果を再び現実世界へ反映するサイバーフィジカルシステム(CPS)について解説されました。CPSでは、データを収集・蓄積し、分析・最適化した結果を、実際の現場でどのように実行するかが重要となります。その鍵となる技術として、AIが現実世界の状況を認識・判断し、ロボットや機械を動かす「フィジカルAI」が紹介されました。日本がこれまで培ってきた工場の自動化技術などの強みを生かしながら、サイバー空間と現実世界をつなぐことの重要性についてお話しいただきました。
 続いて、ものづくりの現場における具体的な事例として、ロート製薬やボーイングとの取り組みが紹介されました。現実とデジタルツインの間に生じる時間差や測定誤差を考慮しながら運用する「確率的デジタルツイン」や、作業の様子を撮影した映像をAIで分析する技術など、デジタルツインとAIを実際の製造現場で活用するための研究が進められています。また、AIを大規模に利用することで増加する電力消費の課題と、AI内部で扱う数値を単純化することで計算量や消費電力を抑える「量子化」についても紹介されました。
 講演の後半では、デジタルツインの医療への応用についても取り上げられました。東京科学大学病院では、患者さんの状態の変化を予測する「患者デジタルツイン」、看護師の負担を把握する「看護業務デジタルツイン」、病棟の負荷を予測する「病棟デジタルツイン」を組み合わせる研究が進められています。患者さんの状態だけでなく、それを支えるスタッフや病棟全体を捉えることで、よりよい医療につなげようとする取り組みです。さらに、将来的には病院の中だけでなく、仕事や遊び、癒やし、治療など、一人ひとりの生活全体を捉える「トータル・ウェルビーイング」へとデジタルツインを広げていく構想も紹介されました。

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    質疑応答の様子

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    講演後に懇談している様子

 今回の講演を通じて、デジタルツインは現実世界をコンピューター上に再現するだけでなく、現実を測り、未来を試し、その結果を再び現実へと反映していくための技術であることが示されました。AIの力を活用しながら、何を目指し、どこまでをAIに任せるのかを人間自身が考え続けることの重要性について学ぶ機会となりました。
 ご講演いただいた藤澤先生ならびに、ご参加いただいた皆さまに厚く御礼申し上げます。今後もSustainable Open Innovation Seminarでは、社会と知のフロンティアを拓くための対話と交流の場を継続してまいります。