ノーベル賞受賞者による講演 -量子力学の基本問題-

(オランダ・ユトレヒト大学教授)
オランダの理論物理学者。1999年、電弱相互作用の量子構造の解明によりノーベル物理学賞を受賞。ゲージ理論によって弱い力と電磁気を統一する試みに残されていた課題を解決し、これが、量子色力学、超ひも理論の発展させる重要な業績となった。

(ベルギー・ブリュッセル自由大学名誉教授)
ベルギーの理論物理学者。1964年、素粒子が質量を持つ仕組みを説明した理論を発表(同年、ピーター・ヒッグスが「ヒッグス粒子」の存在を予言する論文を発表した)。2012年7月、欧州合同原子核研究機構(CERN)の研究チームがヒッグス粒子の存在を確定する論文を発表し、ヒッグス粒子の存在が認められたことで、宇宙の仕組みの解明や生命の誕生に関する研究が進むと期待されている。2013年に、ヒッグス氏と共にノーベル物理学賞を受賞。

(高エネルギー加速器研究機構特別栄誉教授)
物理学者。名古屋大学特別教授。素粒子のクォークが3種類しか見つかっていなかった1970年代に「6種類ある」と予言する「小林・益川理論」を益川敏英氏と共同でまとめる。また、「CKM行列 (Cabibbo-Kobayashi-Maskawa matrix)」でも知られ、2008年、ノーベル物理学賞を受賞。
2015年度のテーマプログラムは「量子物理学における基本問題」。そこで知のフォーラムでは、3名のノーベル賞受賞者を招聘しました。オランダ・ユトレヒト大学のヘーラルト・トホーフト教授、ベルギー・ブリュッセル自由大学のフランソワ・アングレール教授、そして、高エネルギー加速器研究機構の小林誠特別栄誉教授です。 トホーフト教授とアングレール教授はこの年、東北大学に1か月滞在して、ワークショップやスクールを通じて学生や若手研究者との研究討論も行いました。ノーベル賞受賞者と学生・若手研究者とが直に交流する貴重な機会となっただけでなく、先生方のフランクなお人柄に加え、研究に精力を注ぐ真摯な姿勢から、大いに感動と刺激を受けることとなりました。