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2022年3月11日

新しい社会主義:コモンズのための制度設計


新しい社会主義:コモンズのための制度設計
松島 斉 (東京大学大学院経済学研究科 教授 / 東北大学大学院経済学研究科政策デザインラボ 客員教授)

1988年、東京大学大学院博士課程修了。経済学博士。筑波大学助教授、東京大学助教授を経て、現在、東京大学経済学部教授。 2003年よりEconometric Society Fellow (終身特別会員) 、Councilを歴任。第10回日本経済学会中原賞受賞。 現在、日本学術会議「持続的発展のための制度設計」分科会・委員長 (2018–) 専門はゲーム理論。


講演概要

「新しい社会主義:コモンズのための制度設計」が2022年3月11日(金)にオンサイトとオンラインによるハイブリット形式で開催されました。 本講演では、東京大学の松島 斉氏より、気候変動抑止に向けて、各国の排出削減がうまく実施(遵守)されてこなかった原因について解説していただいたのち、実施を促進するための交渉ルールの提案について解説いただきました。

具体的には、(1) 社会的共通資本の概念とは何か?社会的共通資本やコモンズにおけるフリーライダー (ただのり) 問題がなぜ起こるのか? (2)フリーライダー問題を解決するための新しいルールの考え方「慎重なコミットメントルール」とは具体的にどのような国際ルールなのか?このようなルールにおいてなぜフリーライダー問題を解決できるのか? (3)「慎重なコミットメントルール」を温暖化国際交渉に応用する場合のルール設計について、特に、従来のような国別の排出枠交渉に基づく解決策ではなく、環境税の導入と税額設定を中心とした解決策に変更することの重要性について解説いただきました。

この講演は、「新しい資本主義」の在り方を模索すると同時に、市場や国家に代わる、分権的な「新しい社会主義」の具体的な制度設計を目指すものであり、従来の交渉のあり方の方針転換を提案するものでした。

2022年3月11日 (金)/東北大学知の館 (TOKYO ELECTRON House of Creativity)/一般対象 (日本語)