2017年8月19日

「ニュートリノ研究に夢をのせて」を開催しました



 8月19日 (土) 、仙台勝山館において、東北大学科学シンポジウム「ニュートリノ研究に夢をのせて」が開催されました。
 このシンポジウムでは、「ニュートリノが質量を持つ事を示す、ニュートリノ振動現象の発見」により、2015年ノーベル物理学賞を受賞された東京大学宇宙線研究所長の梶田隆章先生をはじめ、京都大学理学研究科教授の中家剛先生、東北大学ニュートリノ科学研究センター長の井上邦雄先生に、最先端のニュートリノの研究についてご講演頂きました。

  • 伊藤センター長の画像

    開会あいさつ
    東北大学知の創出センター 伊藤 貞嘉 センター長

  • 村松所長の画像

    開会あいさつ
    東北大学多元物質科学研究所 村松 淳司 所長

  • 梶田先生の画像

    梶田 隆章 先生
    (東京大学 宇宙線研究所長、2015年ノーベル物理学賞受賞)

  • 中家先生の画像

    中家 剛 先生
    (京都大学 理学研究科 教授)

  • 井上先生の画像

    井上 邦雄 先生
    (東北大学 ニュートリノ科学研究センター長)

  • 会場の様子1

    会場の様子

 伊藤センター長、村松所長からのご挨拶の後、3人の先生方による講演が行われました。
 始めに、梶田先生から「神岡での研究の30年」と題して、岐阜県飛騨市の地下に作られた観測施設「カミオカンデ」の建設に関わられた学生時代の話から、ニュートリノの観測からノーベル賞受賞につながった研究のお話を分かりやすくご説明いただきました。また、ニュートリノ研究はまだ道半ばであり、これからも宇宙の謎の解明に重要な役割を果たすだろうというお話があり、若い人たちに向けて「ニュートリノに限らず、科学に興味を持ってもらい、将来の研究に参加してもらいたい」というメッセージを頂きました。
 次に中家先生から「神岡に向けてニュートリノビーム発射」と題して、茨城県水戸市にある加速器施設「J-PARC」から295km離れた神岡の「スーパーカミオカンデ」へ向けてニュートリノのビームを発射し観測する実験 (T2T実験) や、「素粒子物理学」について分かりやすいマンガとイラストを使った解説をして頂きました。お話の最後には、ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎博士の「科学の花」という言葉をご紹介頂き、高校生に向けて「不思議だと思うこと (科学の種) をいっぱい見つけてほしい」とのメッセージを頂きました。
 最後のご講演、井上先生からは「ニュートリノで解き明かす宇宙の謎」と題して、東北大学が運営している「カムランド」施設での研究についてお話頂きました。精度の高い観測結果を得るために様々な実験と工夫を重ねられていることや、最先端の研究内容について解説頂いた後、若い人に向けて「皆さんが研究に携さわる頃には宇宙素粒子の大問題を解いてしまうかもしれない」という力強い言葉を頂きました。

  • トークセッションの様子

    高校生のトークセッションの様子

  • 会場の様子2

    会場の様子

 休憩をはさんで、講演者の先生方と高校生によるトークセッションが行われました。 ファシリテーターの渡辺寛子先生 (東北大学 ニュートリノ科学研究センター 助教) によるご紹介の後、登壇した高校生代表からそれぞれ質問して頂き、3人の先生方に、分かりやすくお答え頂きました。高校生からは、研究に関する鋭い質問も飛び出し、大いに会場は盛り上がりました。

 当日は県内外から700名もの来場者があり、大盛況のシンポジウムとなりました。最先端のニュートリノ研究について広く市民の方に関心を持って頂けたのではないかと思います。たくさんのご来場、有難うございました。

リンク:東北大学科学シンポジウム「ニュートリノ研究に夢をのせて」ウェブサイト